**固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)**は、再生可能エネルギーの普及を促進するため、電力会社が一定期間、定められた価格で電力を買い取ることを義務付けた制度です。日本では、2009年11月に「余剰電力買取制度」として開始され、2012年7月からはFIT制度として本格的に導入されました。

FIT制度の概要
- 目的:再生可能エネルギーの導入促進とエネルギーの安定供給
- 対象エネルギー:太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス
- 仕組み:再生可能エネルギーで発電された電力を、電力会社が国が定めた価格・期間で買い取り、その費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として電気利用者が負担します。
買取価格の推移
FIT制度開始以降、太陽光発電の買取価格は年々引き下げられています。以下に、住宅用太陽光発電(10kW未満)の買取価格の推移をまとめます。
年度 | 買取価格 (円/kWh) |
---|---|
2009 | 48 |
2010 | 48 |
2011 | 42 |
2012 | 42 |
2013 | 38 |
2014 | 37 |
2015 | 33 |
2016 | 31 |
2017 | 28 |
2018 | 26 |
2019 | 24 |
2020 | 21 |
2021 | 19 |
2022 | 17 |
2023 | 16 |
2024 | 16 |
2025 | 15 |
(注:2009年~2011年は「余剰電力買取制度」、2012年以降は「FIT制度」に基づく買取価格です)
FIT制度の改正
FIT制度は、再生可能エネルギーの導入促進と国民負担のバランスを図るため、2017年に改正が行われました。主な改正点は以下の通りです。
- 認定制度の見直し:事業計画の適正化と未稼働案件の抑制
- 買取価格の決定方法の変更:入札制度の導入など
- 国民負担の抑制:賦課金の増加を抑えるための措置
再生可能エネルギーの普及と国民負担のバランスを考慮し、FIT制度は今後も見直しが行われる可能性があります。最新の情報を確認し、適切な対応を検討することが重要です。
🔍 FIT制度(固定価格買取制度)のメリット・デメリットを詳しく解説!
FIT(Feed-in Tariff)制度は、再生可能エネルギーの普及促進を目的に、電力会社が一定期間、国が定めた価格で電気を買い取る制度です。2012年に本格導入され、太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの導入が進むきっかけとなりました。
しかし、FIT制度にはメリットだけでなくデメリットもあります。制度を正しく理解し、今後のエネルギー政策や太陽光発電導入の判断に役立てましょう。
✅ FIT制度のメリット(良い点)
1️⃣ 再生可能エネルギーの普及促進
- FIT制度が導入されたことで、太陽光発電や風力発電の普及が加速。
- 企業や家庭が積極的に再エネ設備を導入するきっかけとなった。
- 脱炭素社会(カーボンニュートラル)への移行を後押し。
📌 ポイント: FIT制度により、日本の再生可能エネルギー導入量は大幅に増加。
2️⃣ 発電事業者が安定した収益を得られる
- 国が一定期間(10~20年)固定価格で電力を買い取るため、
投資リスクを抑えて事業を進められる。 - 特に初期のFIT価格(2012年~2014年)は高く設定され、
発電事業者にとって大きな利益を生む仕組みだった。
📌 ポイント: 初期のFIT価格(40円/kWh以上)の時期に参入した企業・家庭は、長期にわたり高収益を得られた。
3️⃣ 太陽光発電のコスト低下につながった
- FIT制度による市場拡大で、太陽光パネルの価格が大幅に下がった。
- 2012年当時は1kWあたり40万円以上だったが、
現在は15~20万円/kWまで低下。 - 蓄電池などの関連技術も発展し、今後さらに普及が進む可能性。
📌 ポイント: FIT制度がなかったら、太陽光発電はここまで普及しなかった。
4️⃣ 地域活性化・地方創生につながる
- 太陽光発電・風力発電などの再エネ事業が、
地方の雇用創出や地域活性化に貢献。 - 自治体や地元企業が参加することで、地域経済の発展につながる。
📌 ポイント: 地域主導の「地産地消型エネルギー事業」が増えている。
5️⃣ 災害時のエネルギー確保(防災対策)
- 災害時に太陽光発電+蓄電池を活用すれば、停電時でも電力を確保できる。
- 自治体や学校に設置された再エネ設備が、非常時の電源として機能。
📌 ポイント: 太陽光発電を持つ家庭・施設では、停電時のリスクを減らせる。
❌ FIT制度のデメリット(悪い点)
1️⃣ 賦課金(国民負担)の増加
- FITの買取費用は、電気利用者が「再エネ賦課金」として負担。
- 年々賦課金が増え、電気料金が上昇している。
⚡ 賦課金の推移(一般家庭・月の負担額)
年度 | 賦課金(円/kWh) | 月額負担(300kWh使用時) |
---|---|---|
2012 | 0.22円 | 66円 |
2015 | 1.58円 | 474円 |
2018 | 2.90円 | 870円 |
2021 | 3.36円 | 1,008円 |
2023 | 3.45円 | 1,035円 |
2024 | 2.95円 | 885円 |
📌 ポイント: 2024年度は少し下がったが、負担額は依然高い。
2️⃣ 電力買取価格の低下(投資メリットの減少)
- FIT開始時(2012年)は40円/kWhと高かったが、
2024年は16円/kWh(10kW未満)にまで低下。 - FIT終了後は7円~11円程度での売電が主流に。
- 初期のような「売電で大きく儲ける」仕組みではなくなった。
📌 ポイント: 今後は「売るより自家消費」がメインになる時代。
3️⃣ メガソーラー乱開発の問題
- 一部の企業が利益目的で大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を開発。
- 森林伐採・景観破壊・水害リスク増大など、環境問題を引き起こしている。
- 地域住民とのトラブルも増加しており、自治体の規制が強化される傾向。
📌 ポイント: 無計画なメガソーラー開発が社会問題化している。
4️⃣ 買取期間終了後の売電価格が安い
- FITの買取期間(10年 or 20年)が終わると、
電力会社が買い取る価格は7~11円/kWhに大幅ダウン。 - 売電だけでは収益が出にくくなり、自家消費が主流に。
📌 ポイント: FIT終了後の戦略が必要(蓄電池導入がカギ)。
5️⃣ FIT終了後の新制度(FIP)が複雑
- 2022年から「FIP制度」が導入されたが、個人には適用されない。
- 企業向けの新制度だが、価格が変動するため導入のハードルが高い。
- FITのような安定した売電制度は今後期待できない。
📌 ポイント: FITの時代は終わりつつあり、新たな戦略が必要。
🔚 まとめ|FIT制度のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
再エネの普及を促進 | 賦課金(国民負担)が増加 |
発電事業者が安定した収益を得られる | 買取価格が低下(売電収益が減少) |
太陽光パネルの価格低下 | メガソーラー乱開発の問題 |
地域活性化につながる | FIT終了後の売電価格が安い |
災害時の電力確保に貢献 | FIP制度が一般家庭向けではない |
📌 今後のポイント
- FITの買取価格は下がり続けており、「売電で儲ける時代」は終了。
- 蓄電池を活用し、「売るより使う」方向へシフトが必要。
- FIT終了後の新制度(FIP)は企業向けで、個人の恩恵は少ない。
太陽光発電を導入する場合、売電収益よりも「電気代削減・自家消費」を重視した設計が重要!
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